ついに解明!ヒット商品の秘密~20年間のヒット商品ランキングから読み解く『これぞヒットの極意!』~【後編】

皆さん、こんにちは、神田です。

今回は、4月5日にアップ(ご紹介)した「ついに解明!ヒット商品の秘密~20年間のヒット商品ランキングから読み解く『これぞヒットの極意!』~【前編】」の後編です。

前編をお読みになっていない方はこちらをお読みください。

前編で、ヒット商品を生み出すためには、

  • 「潜在ニーズの発掘」
  • 「創造性」

の2つの要素が重要だということを学んでいただきました。

そして、この要素を概念としてではなく、商品として具体化する方法論として「Neo P7(新・商品企画七つ道具)」を紹介させていただきました。

今回の後編では、ヒット商品がカテゴリー別に「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の両要素とどのような関係性にあるか構造マップを描いてご説明します。

ヒット商品の構造マップ(日経TRENDY「ベストヒット商品30」20年分を分析)

多変量解析の数量化理論Ⅲ類という手法を使って、商品カテゴリー分類(12分類)、総合評価順位(◎、○、△)、潜在ニーズ発掘度(◎、○、△)、創造性(◎、○、△)
、年区分(04~08年、09~13年、14~18年、19~23年)、の合計25の項目の関係を25の点としてマップ化したものです。_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)

上図は多変量解析の数量化理論Ⅲ類という手法を使って

  • 商品カテゴリー分類(12分類)
  • 総合評価順位(◎、○、△)
  • 潜在ニーズ発掘度(◎、○、△)
  • 創造性(◎、○、△)
  • 年区分(04~08年、09~13年、14~18年、19~23年)

の合計25の項目の関係を25の点としてマップ化したものです。

手法の詳細は専門書、専門サイトに譲るとして、この図は地図のように、「近い点同士は関連性が高い」と読みます。この手法のメリットは「多数の項目間の関連性を一度に見る」ことができる点です。

例えば、右上の潜在ニーズ発掘度(△)、創造性(◎)、分類(エンタメ・ゲーム・イベント)は接近した位置にありますね。

この3項目が同時に実現している可能性が高い、と解釈します。

これは前編のクロス集計からも確かなことですが、2つずつのクロス集計を重ねても多数同士の関係はよくわかりません。

ただ、接近していると言っても図の上で距離を測って「こちらの距離の方が3mm近い」などと厳密に解釈できる手法ではありませんが、大体の傾向は読み取れます。

なお、「創造性」、「潜在ニーズ発掘度」はそれぞれ高い方に向かって、また「年区分」は新しい方に向かって矢印→で推移を示してありますので、より傾向が見やすくなっています。

上図再掲

数量化理論Ⅲ類のアウトプットにおいては、横軸・縦軸に物理的に明確な意味はありませんが、各点の位置関係から大まかな解釈が可能です。

つまり、

横軸

  • 右方向に進むほど「創造性」が△→○→◎と変化し、「潜在ニーズ発掘度」が◎→○→△と変化しています。
  • 右方向は「創造性」高い、左方向は「潜在ニーズ発掘度」高いという解釈になります。

縦軸

  • 上方ほど「創造性」、「潜在ニーズ発掘度」は共に低く、「年区分」は古いエリア、
  • 下方ほど「潜在ニーズ発掘度」高く、「年区分」は新しい傾向があります。「創造性」は中間になります。 

これらの横軸と縦軸の解釈を入れ、更に、商品カテゴリーを2大別して図に描き入れてみたのが下図です。

数量化理論Ⅲ類分析の結果から、「創造性」の高い商品群は、「エンタメ・ゲーム・イベント」、「趣味嗜好・アート・書籍」、「観光・交通・施設」です。「潜在ニーズ発掘度」の高い商品群は、「飲食品」、「家電・IT」、「文具・生活用品」、「健康・医薬」、「化粧・美容」、「衣料品」、「自動車」です。

太い赤点線で囲んだ「創造性」の高い商品群

「創造性」の高い商品群は、「エンタメ・ゲーム・イベント」、「趣味嗜好・アート・書籍」、「観光・交通・施設」です。

太い青点線で囲んだ「潜在ニーズ発掘度」の高い商品群

「潜在ニーズ発掘度」の高い商品群は、「飲食品」、「家電・IT」、「文具・生活用品」、「健康・医薬」、「化粧・美容」、「衣料品」、「自動車」です。

「社会現象・制度」は「潜在ニーズ発掘度」の方が高いのですが、商品数が少なく(8件)図の上でもかなり外れていますので、2分類からは除外しました。

「創造性」の高い商品群と「潜在ニーズ発掘度」の高い商品群、その他分析結果からわかること

以上のアウトプット図から、次のことが推察できます。

(1) 「創造性」、「潜在ニーズ発掘度」、各々の優れた商品グループは離れて位置しています。重なることはありません。性質がかなり異なることがわかります。

(2) 最も「創造性」の高いカテゴリーは「エンタメ・ゲーム・イベント」で、「潜在ニーズ発掘度」の極端に高いカテゴリーは「文具・生活用品」です。この両者は図上で真反対の位置にあります。

(3) 横軸方向の動きから、「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の点の動きは逆方向になっています。「創造性」は右上方向に向かって、「潜在ニーズ発掘度」は左下方向に向かって高くなっています。「創造性」◎の点の近くには「潜在ニーズ発掘度」△の点が、「潜在ニーズ発掘度」◎の点の近くには創造性○の点があります。

(4) 総合評価順位はほぼ中心に位置し、「創造性」とも「潜在ニーズ発掘度」とも余り関連を持ちませんが、強いて言うと、創造性の高くなる方向と合っています。

(5)年区分は新しいほど(左右軸から)創造性、(上下軸から)潜在ニーズ発掘度共に高い方向に向かっています。

まとめ:「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の両要素が必要

商品カテゴリによって、「創造性」の要素が高いカテゴリーと、「潜在ニーズ発掘度」の要素が高いカテゴリーのあることが分かりましたが、近年ではその両要素とも必要性が高くなっているのです。

つまり、ヒット商品を生み出すためには、「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の両要素が必要なのです。

ヒット商品を生み出すには?商品企画法NeoP7~マーケティングサイエンティストとして活動を行っていく上で大きな威力を持つ

さて、いかがでしょうか?

日経TRENDYの公表したベストヒット商品30の20年分を分析して、私のかねてからの主張、

【感動価値=創造性×潜在ニーズ発掘度】

がある程度裏付けられた、と思っています。

商品カテゴリーにもよりますが、多くの分野で特に「潜在ニーズ発掘度」の重要性が明らかになったように思います。

では、これらの要素を概念としてではなく、商品として具体化するにはどうしたら良いでしょうか?そのための方法論こそが、Neo P7(新・商品企画七つ道具)です。

商品企画法NeoP7システム(新・商品企画七つ道具)_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)

・最初の仮説発掘法は潜在ニーズ発掘のツールであり、
・次のアイデア発想法は創造性発揮のためのツールです。

この2大手法の活用により、皆様は数百もの優れた仮説・アイデアを手に入れることができます。

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神田範明

一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会 会長、成城大学 名誉教授
専門分野:商品企画、市場調査、経営統計学、品質管理。 1949年8月生まれ、東京工業大学工学部経営工学科卒、同大学院修了。 その後名古屋商科大学に勤務し、企業での商品開発に関する品質管理の体系化や学生指導の必要性から商品企画の世界に入りました。 1993年成城大学教授となってからは商品企画の手法を体系化した「商品企画七つ道具」を発表(1994年)、実践応用に邁進しながらも次々に手法の開発や改良に努め、神田ゼミを成城大学随一の存在に育て、有名企業との産学協同研究やコンサルティングに現在も休みなく奮闘しています。

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