目次
顧客の意見から仮説を確認・修正し、評価基準を抽出する 第3回
10月10日、WAKU LABO「6ヶ月間・しっかり習得コース」全12回のうち3回目、本日はの内容はPART1~6からあるうちPART2、インタビュー調査2手法についてです。
① グループインタビュー
② 評価グリッド法
<第3回の主な内容>
PRAT2
- 顧客の意見から仮説を確認・修正し、評価基準を抽出する
Neo P7手法
- インタビュー調査
講義
- インタビュー調査
実習
- グループインタビュー
- 評価グリッド法
チームディスカッション
- 選出(商品アイデア)仮説報告
- 検討
次回までの課題
- 評価グリッド法の実施
次より、「インタビュー調査」の2つの手法「グループインタビュー」と「評価グリッド法」に関して、講師の神田名誉教授の解説と講座風景をご紹介します。
3番目の手法「インタビュー調査」の役割
Neo P7における3番目の手法「インタビュー調査」の役割についてまずお話しします。
1番目の手法「仮説発掘法」⇒2番目の手法「アイデア発想法」と順に進め大量の商品アイデア(以下、仮説)を創出しました。それら大量の仮説から、アイデア選択法を用いて、6~8つ程度※の優良仮説を絞り込む方法を学んできました。ここまで第2回の講座の内容です。
※選択する仮説数:多いときは20個程度、扱いやすいのは6~8つ程度。優良仮説を絞り込む。
さて、第3回は、選択した6~8つ程度※の仮説を、直接顧客と対話をしながらニーズを深く探り、仮説を修正したり肉付けするすることを可能にする「インタビュー調査」について学びます。
「インタビュー調査」はその名のとおり顧客に対面型のインタビューを行い、顧客から本音を引き出す方法です。Neo P7では「グループインタビュー」と「評価グリッド法」を取り上げます。この他にも方法があり、この2つに限定するというわけではありません。大切なのは、顧客の意見を直接的に、定性的に把握して、良好な仮説を確立することです。
今はコロナ禍でリアル対面型が難しいケースも出てきますので、その場合は、テレビ電話やテレビ会議などオンラインサービスを活用するとよいでしょう。また、「評価グリッド法」はメールでも可能な方法です。
3番目の手法「インタビュー調査」の結果が、次の4番目の手法「アンケート調査」のインプット情報になります。定性的手法から定量的手法へ引き継ぐ方法を学びましょう。
消費財やサービスに向く「グループインタビュー」
「インタビュー調査」の1つ目「グループインタビュー」は、名前のとおり、1グループ4~6名に集まっていただき相互対話が生まれるように司会者が進行しながら調査を行う方法です。
「グループインタビュー」の長所は、仮説に対する顧客の印象や考えがはっきりその場でわかり、仮説の改善や修正点を把握しやすいことです。
例えば、
(司会者)「仮説Aについていかがですか?」
(参加者)「それはちょっとイマイチね」(という反応で終わったしまわず)
(司会者)「では、どうなっていたらよいのでしょう?」(すかさず次の問いを自在にできる)
(参加者)「機能を増やすより子供でも扱えるようにしてほしい」(顧客の要望を拾える)
または、参加者同士の会話を促すと
(司会者)「Xさんは仮説Aを10点満点中7点と評価されました。なぜですか?」
(Xさん)「・・・・・だから」
(司会者)「Xさんはこのようなご意見ですが、Yさんいかがですか?」
(Yさん)「私はⅩさんと少し意見が違って・・・よ。」
(Zさん)「私はXさんと同じだけと、この部分は〇〇にあった方がよりいいわね。」
このような具合に、(X、Y、Zさん)参加者同士の対話の中から新しい気づきを発見することができます。
ただし「グループインタビュー」短所は、司会者(モデレーター)のスキルに影響を受ける点です。
良いインタビューにするために、インタビューシナリオを事前にしっかり組み立てておくとよいでしょう。
良いグループインタビューにするためのシナリオ作り
グループインタビュー調査を従来のような「仮説発掘型」から⇒「仮説検証型」にしましょう。
そうすることにより、司会者の力量にさほど影響されなくなります。
Neo P7における「グループインタビュー」のシナリオの一般型を掲載しておきます。
シナリオ作りのポイント
<シナリオの前半>
仮説(商品企画のアイデア)を出さずに、テーマ(例えば、目覚まし時計)に沿って、現状や要望などを把握します。購入した時計や購入した店、その理由、目覚まし時計の置き方や使い方、不満や要望など。
<シナリオの後半>
仮説(商品企画のアイデア)リストを読んでもらってから、評価してもらい意見も出してもらいます。
仮説リストはプリントして配ります。
このように、前半は現状を把握しる設問を後半は仮説を評価する設問を構成すると、仮説に対する評価のバックグラウンドまで理解できます。また、シナリオをしっかり作成することで、インタビュー中に対話が脱線して広がりすぎても軌道修正を可能にしてくれます。
自社商品についてグループインタビューを実施したいという方、グループインタビューの結果をどのようにまとめるか、事前の段取りはどうするのか、ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問合せください。
BtoBにも非常に向く、顧客ニーズを構造的に把握する「評価グリッド法」
「インタビュー調査」の2つ目「評価グリッド法」は、一対一のインタビューを実施するイメージです。
実施対象は消費財やサービスだけでなく、BtoBの商材にも大変向く手法です。
「評価グリッド法」は組織的に実施できますので、まとめ方を先にご覧いただきましょう。
評価構造図
上図、左に行くほど抽象的な概念を、右に行くほど具体的な事項を記載します。
<上位概念>
上位概念は、Wants(ウォンツ)=「~したい」の表現で回答してもらいます。=何のために・願望・目標・目的が上位概念になります。
<中位概念>
中位概念は、上図、中央に記載し、この中位概念の項目を次の4番目の手法「アンケート調査」で評価項目に使用します。中位概念は「なぜ買いたいか?」「なぜ使いたいか?」という質問を投げかけ導出します。(次項「評価グリッド法の実施方法」参照)
<下位概念>
下位概念は、要求事項です。=具体的にどういうものが欲しいか。与えられた仮説(サンプル)にこだわらず自分の欲しい条件を答えてもらうので、新しい仮説になるものも出てきます。
そして、上ー中ー下の関係するもの同士を線でつなぎ構造図を完成させます。
評価グリッド法の実施方法
では、どのように実施すると前述の構造図を描けるのか、やり方をご説明します。
評価グリッド法の実施方法
STEP1
中位概念=(次のアンケート調査で使用する)調査項目を抽出します。
仮説2つを比較してどちらが買いたいかを質問し、選択した理由を回答してもらいます。
STEP2
ラダーリングにより、上位概念と下位概念を導出します。
中位概念(機能的/情緒的ベネフィット)を経由して上位の価値観から下位の商品属性までハシゴ(Ladder)をかけ昇降するようにインタビューを進めます。
STEP3以降
以下同様に、仮説の組み合わせを変え順次実施し、それらの結果を、評価構造図の形式でまとめます。
評価グリッド法は、一対一で実施できるので、上記を参考にぜひトライしてみてください。
チームで協力して商品企画
さて、各チームはどのように進展したでしょう。
テーマ1「単身者向け冷凍食品」
テーマ2「男性がもらってうれしいカップ」
「単身者向け冷凍食品」チーム
前回、企画テーマを「単身者向け冷凍食品」に設定したところから本日までの間に、チームで「アイデア発想法」を実施し60件の仮説(アイデア)を出すところまで進めてきました。本日のチームディスカッションでアイデア選択法を用いながら17件の案まで絞られ、さらにウエイト※付けシミュレーションの結果、優良仮説8案にまで絞り込んだそうです。仮説案には、「代謝を上げる冷凍食品」とか「丁度よい解凍に音が出る冷凍食品」とか「忙しい朝に栄養をしっかり摂れるご飯+惣菜パックの冷凍食品」とか、どれも実現されたら便利で買いたくなりそうな案が絞り込まれた様子です。
※アイデア選択のウエイト項目は、「目新しい」「体に良さそう」「使いやすい」「おいしそう」。
「男性がもらってうれしいカップ」チーム
110件の仮説(アイデア)を一次クリーニングで50件まで絞り、アイデア選択※シートを使って10件弱に、インターネット調査にかける仮説を7件に決めたそうです。仮説案には「コーヒーの香りを高めるカップ」や「カップを火にかけると鉄分が溶けて、鉄分を補給できるカップ」「猫舌の人向け冷めやすいカップ」「マドラーがなくても砂糖やミルクが混ざる機構設計のカップ」などを発表してくれました。
※アイデア選択のウエイト項目は、「機能性」「独自性・ユニーク」「芸術性・美しさ」。
興味深い仮説案ばかりで、これからの企画が楽しみですね。
ここまで定性的手法の特長を存分に活かしきれているのではないでしょうか。
次々回から定量的手法に入ります。
ますます楽しみになってきました!ワクワクしますね!
「商品企画」をご一緒に体験してみませんか。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ、無料セミナーにご参加ください。お待ちしております!
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堀内香枝
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